「あなた。あれは、
茉莉華のせいではありませんし」
「張りぼてが落ちてきたのは、幼稚園の問題だが
それを途中で放棄するとか有りえないだろ!?
名門私立のお偉い方々が来ているというのに
無様な終わらせ方をしてお前には、失望した!」
そう言ってきた茉莉華ちゃんのパパ。
自分の娘に失望したってあんな言い方はないと思う。
茉莉華ちゃんが可哀想よ!
私は、一言でも言いたくなり行こうとする。
すると睦月君が無言のまま茉莉華ちゃんの所に
行ってしまった。
「睦月君…!?」
慌てて声をかけるが睦月君は、ハンカチを取り出して
茉莉華ちゃんに渡した。
「…ひっく…睦月……くん?」
「茉莉華ちゃんが悪い訳ではないよ」
睦月君は、茉莉華ちゃんの頭をポンポンと
撫でながらそう言っていた。
睦月君の行動に驚かされたが慰めたかったのね。
しかし茉莉華ちゃんのパパは、不機嫌そうに
「な、何だ!?またこの子か。まったく
最近のガキは、行儀もへったくれもないな。
親は、何処に行ったんだ?」
私は、慌てて睦月君の所に行こうとする。
すると先生が腕を掴み引き留めてきた。
えっ……?私は、驚いて先生を見る。
「まだだ。アイツがどうするか見届けろ」
「先生……」
心配だけど先生の言われた通り見守る事にする。
睦月君を見るあの時の不敵な笑みで
茉莉華ちゃんパパを睨み付けていた。
睦月君!?すると……。
「ガッカリなのは……おじちゃんの方だよ。
まだ“可哀想”の意味が分からないんだね。残念」
驚きの発言をしてきたではないか。
驚いて見ていたら茉莉華ちゃんのパパは、
カッとした表情になって掴みかかろうとした。