「あなた……そんな言い方は」
慌てて止めようとする茉莉華ちゃんのママ。
しかし、茉莉華ちゃんのパパは、
それを無視して私と睦月君の前に来た。な、何!?
「確か藤崎さんのお父様は、ベストセラー作家の
蓮見先生だとか?私は、あのようなファンタジーや
ミステリーものは、非現実的で読まないので
どんな作品かは、分かりませんが。
いかにも程度の低い輩が読むくだらない内容に思えまして」
「その上にテレビで観させてもらった蓮見先生は、
ロック系というか……いかにも
ヤンキーっぽい風貌で正直驚きましたよ。
シングルファーザーと聞きましたし
だから子供の躾がなっていないのだと理解しました。
それなら、ウチの茉莉華を泣かすのも分かるというものだ」
人を見下したように言ってきた。ひ、酷い……。
睦月君を馬鹿にしたのも腹が立つけど
先生の悪口まで言うなんて酷過ぎる。
「あ、あなたに先生や睦月君の何が
分かると言うのですか!?
何も知らないのに勝手な事を言わないで下さい。
失礼ですよ!!」
あまりにも腹が立ったため言い返した。
睦月君は、きちんと教育されていていい子だし
先生だってとても素晴らしい人だわ。
そんな2人を馬鹿にされて黙っているなんて出来なかった。
「おや、それは失礼。確かに程度の低い人に
私の言葉は、悪いように取られるようだ。
まぁ、人種が違うようだから仕方がありませんがね」
眼鏡を上げながらクスッと笑われた。
なっ!?あまりの発言に言葉を失う。
「あなた。それは、あまりにも酷いわよ!?
小野木さん、睦月君…ごめんなさい」
茉莉華ちゃんのママが必死に止めて謝ってきた。
茉莉華ちゃんのママは、いい人なのに……。
すると睦月君が私の手を取ると
「……もうすぐ開演しちゃうよ」と言い早く行こうと
急かしてきた。
「睦月君……」
「おや?もうそんな時間か
無駄話をしてしまったようだ」
時計を見ながらそう言ってくる。
すると睦月君は、茉莉華ちゃんのパパを見ながら
「……おじちゃん。可哀想な人だね」と言い放った。