「名門私立ですか……」

「そこまでして自分の子を私立に
受験させたいもんかねぇ~?
まったく理解が出来ん。まだ幼稚園のガキじゃねーか」

呆れたように先生は、ため息を吐いた。
私は、それを聞いて苦笑いする。
そりゃあ…名門私立ですもん。
子供の将来を考えて受験させたいと思う人も居るだろう。

先生は、睦月君を受験させる気はないのかしら?
睦月君なら受験させても受かりそうだが……。
色々と考えていると緊張からか
お手洗いに行きたくなってきた。腕時計を見るとまだ
発表まで時間がある。今なら行けるわね。

「あの…ちょっとお手洗いに行ってきます」

「はぁっ?まったく……早くしろよ」

先生は、呆れた表情で言う。
申し訳なさそうに思いながらお手洗いに向かった。
お手洗いは……確かこの先に

トイレを見つけると済ませる。そして手洗いして
ホールに向かうため歩いていると
茉莉華ちゃんと茉莉華ちゃんのママが見えた。

その隣には、30代ぐらいの男性が
もしかして茉莉華ちゃんのパパだろうか?
高級そうなスーツをビシッと着ており眼鏡をかけていた。

イケメンでもあるが、いかにもエリートという
雰囲気がして少し近寄りがたい印象だった。
そうしたら話し声が聞こえてきた。

「いいか?茉莉華。今日は、名門私立の偉い方々が
たくさんお前のステージを見に来てくれている。
しっかりとやるんだぞ?
間違っても恥をかくような事だけはするな」

「うん。茉莉華 頑張る!」

「そうだ。お前は、いずれいい大学を出て
俺の跡を継がないとならない。
こんな低俗ばかりの幼稚園で躓いてはならない。
それなのに……ここは、問題が多過ぎる。
やはりもう少しちゃんとした幼稚園にするべきだったか」

「あなた……そんな言い方は…」

慌てて止める茉莉華ちゃんのママ。なるほど。
やっぱり茉莉華ちゃんのパパの影響だったのね。
いかにも言いそうだ。