「拓馬は、僕のために怒ってくれたの。
だから許してあげて。僕が怒られるから」

そう言って拓馬君を庇ってあげていた。
睦月君……そのために頭を下げたの!?
すると茉莉華ちゃんのママは、しゃがみこんだ。

「大丈夫よ。おばさんは、怒ったりしないから。
拓馬君も睦月君も……だから
茉莉華の事を許してあげてね?
もう言わせないように注意しておくから」

ニコッと優しく微笑んでくれた。
睦月君は、コクリと頷く。茉莉華ちゃんのママは、
なんて優しい人なのだろうか。
私は、驚きつつも感動した。

その後。私も茉莉華ちゃんと拓馬君のママに謝罪した。
私も止められなかったから。もちろん許してくれたが
何だか申し訳ない気持ちになった。

帰り道、睦月君にどうして謝ったのかと
聞くが何も答えてくれなかった。どうしてかしら?
そして自宅に帰ると先生に事情を説明した。
これで事情を話すのは、2回目だ。
しかし先生は、それを聞くと笑い出した。

「アハハッ……性格ブスか。それは、いい。
拓馬の奴…ナイスじゃねぇーか」

「笑い事ではありませんよ!?
もうビックリしたし、どうなるのかとヒヤヒヤしましたよ」

思い出しただけでもヒヤッとする。
一歩間違えたら大問題になっていたかもしれない。
茉莉華ちゃんのパパが激怒したかもしれないのに……。

「どうなるも子供同士の喧嘩だろ?
低俗か…言ってくれるじゃねーか。
性格ブスと言われるのも当然だな」

「ですが、それだとまずいのではないですか?
余計に泣かしちゃいますからダメですよ」

先生……。
拓馬君みたいな事を言わないで下さい。
私は、ダメだと言い返した。泣かしたらダメだと思う。

「泣きたい奴には、泣かしておけばいい。
女は、自分からギャーギャー言うくせに
自分が言われれば泣く。そして何でも許してくれると
思う奴が居るから厄介だ。
だから性格ブスだとか言われるんだ。自業自得だろ」

「それは……そうかも知れませんけど
言い方といいますか、もう少しオブラートに
包んだ方がいいと思います」

そんな事を言われたら立ち直れなくなっちゃう。
特に茉莉華ちゃんタイプの子は……。