「睦月君……」
「お前のその信念は、徹底しているな……」
先生は、呆れた表情をしていた。
睦月君の信念というか意志は、強いようだった。
嫌味を言われようが睦月君にとったら
そんなのは何ともないらしい。
それよりも言葉を話す事が嫌いな睦月君にとっては、
言い返す方が嫌だしい。
むしろそっちの方がストレスになるのかもしれない。
それっていいのか……悪いのか?どっちなのだろう。
「と、とにかく喧嘩は、ダメだから
明日にでも茉莉華ちゃんと仲良くしようね」
笑顔で言うとコクリと頷いてくれた。
分かってくれたみたいで良かった。
しかし翌日。先生と一緒に迎えに行くと茉莉華ちゃんが
またもや泣いていた。まさか、また!?
今度は、拓馬君のママが茉莉華ちゃんのママに
平謝りしているし。何が起きたのだろうか?
すると睦月君が私に気づき駆け寄ってきた。
「睦月君……また茉莉華ちゃん泣かしちゃったの?」
そう尋ねるとフルフルと首を横に振るう。
「泣かしたの。拓馬だよ!」
「拓馬君が!?どうして拓馬君が茉莉華ちゃんを
泣かしちゃったの?」
拓馬君の事だから口喧嘩でもしたのだろうか?
「睦月君は、黙ったまま何も言わない。
弱った…状況が分からない以上どうしたらいいか
分からない。もし関係しているのなら謝りに行かないと
ならないけど……。すると中川先生が
私に気づいてくれた。
「小野木さん。お迎えお疲れ様です」
「こんにちは。あの……これは……」
中川先生に事情を詳しく聞く。やはり言い合いだった。
睦月君が言われた通り仲良くしようと声をかけた。
しかし茉莉華ちゃんは、それを否定した。
「茉莉華。低俗の人と遊びたくないですわ」