「えっ……?睦月君が?」
「ち、違いです。これには、事情がありまして……」
このままだと睦月君が悪者になってしまう。
そうなったらいくら何でも可哀想だ。
私は、慌てて説明しようとした。そうしたら
茉莉華ちゃんのママが迎えに来てしまった。
「茉莉華!?どうしたの?これは……」
「龍ヶ崎さん……」
「ママ~ふえーん」
茉莉華ちゃんは、母親のもとに駆け出して抱きついた。
これは、余計に困った状況になってしまった。
私は、茉莉華ちゃんのママと中川先生に必死に
経緯と事情を詳しく説明した。
どうして泣き出してしまったのかを……。
すると納得してくれたようだった。
「まぁ、そんな事を茉莉華が?
それは、茉莉華の方が悪いわ。どうも私より
夫の影響が強いみたいで。後で十分に
言い聞かせますので……すみません」
「あ、いえ。理解して頂けたのならいいんです。
こちらも配慮が足りなかったのも原因ですし
すみませんでした」
申し訳ない気持ちになり謝った。
しかし茉莉華ちゃんは、納得がいかないのか
「茉莉華…悪くないもん」
茉莉華ちゃんのママにしがみつきながら
まだそう言っていた。
「茉莉華……。本当にごめんなさいね」
「いえいえ、子供同士の喧嘩ですし
気になさらないで下さい」
私は、苦笑いしながらも許し、これ以上言わなかった。
子供に悪気はないみたいだし
母親の方から謝ってくれたので。
その後、茉莉華ちゃん達は帰って行く。
すると拓馬君が呆れたようにため息を吐いた。
「何だよ…アイツ。ワガママな事を言ったかと
思ったら今度は、勝手にヒステリー起こして
泣き出しやがって意味分からねぇー」
拓馬君……。