拓馬君のママが申し訳なさそうに謝ってきたので
先生が私の代わりにそう答えた。ガーン!!
いや、確かにそうなんだけど……。
拓馬君のママは、それを聞いてクスクスと笑っていた。
「フフッ…それより驚いたわ。
竜ヶ崎さんに声をかけられた時には…」
「すみません。竜ヶ崎さんって綺麗な方ですね。
上品で奥様って感じで」
「あら、本物の奥様なのよ。あの人」
えっ?そうなの!?
拓馬君のママの言葉に驚いた。でも納得する。
なるほど……通りでそんな感じがした訳だ。
あんな綺麗で知的な感じがしたもの。
「個人病院『竜ヶ崎クリニック』の院長先生の
奥様なの。竜ヶ崎さん自身もそこの医師をしている
優秀なお医者様なんですって」
それは、凄い。奥様だけではなくお医者様だなんて
次元が違い過ぎる!!
しかも美人で頭がいいだなんて羨ましい。
私は、驚きと憧れてしまった。
「しかも保護者会の会長も就任なさっているから
誰も逆らう人が居ないの。
まぁ奥様は、優しくて上品な方だからいいけど
ここだけの話。旦那様には、気をつけた方がいいわよ。
かなり教育とかうるさい人だから
幼稚園にも何度かクレームを入れたぐらいだし」
こっそりと教えてくれた。
「そうなんですか!?」
「えぇ、幼稚園に英会話を取り入れろとか
今回なんて幼稚園の宣伝目的も兼ねて
一般参加もOKだったのに関係者以外入れるなと
文句を言ったらしいわよ?
それは、奥様が説得してくれたみたいだけど
そのせいで皆逆らえなくて。奥様が可哀想だわ」
そうなれば私は、入れなくなってしまう。
確かにそれだと奥さんが大変そうだし困る。
旦那さんの存在に私も困惑する。すると拓馬君が
自分の母親のスカートを引っ張ってきた。
「母ちゃん早く帰ろうぜ~お腹空いた~」