「ありがとうございます」
「どうだ?進んでいるか?」
先生が質問をしてきた。
お茶を受け取りながら恐る恐る先生に見せた。
うぅ……恥ずかしい。
「……まぁまぁだな」
やっぱり。少しは、上手く縫えたと思ったけど
仕方がないわよね。私下手だし
こんな衣装だと皆に笑われちゃうかしら?
しゅんと落ち込んでしまう。
「すみません。下手で……あんまり上手くないのを
睦月君に着せてもいいのかなぁって……。
きっと皆さんの衣装は、自信作だと思いますし」
先生にまぁまぁだと言われちゃったし……。
すると私の頭をポンポンと撫でてきた。えっ?
上を向くと先生は、
「こういうのは、気持ちの問題だろーが。
一生懸命作った衣装を笑う奴なんていない。
居たら俺が許せねぇーし。だから気にするな」
それだけ言うとリビングから出て行ってしまった。
……先生。撫でられた頭を触れる。
何だか胸がキュンとなってあたたかい。
頑張らなくちゃあ……。
何だか前よりやる気が出てしまう。
絶対に衣装を完成させなくちゃあ!!
そして……。
「で、出来た~!!」
やる気が出た私は、徹夜して見事衣装を完成させた。
うんうん。どう見ても馬の衣装だ。
良かった……。
そうしたら力が抜けてそのまま眠ってしまった。
夢では、睦月君が私の作った衣装を着て
劇をしてくれていた。
あれ?夢を見ているはずなのに
何だか先生の匂いがした。
あたたかく安心するような…そんな匂い。
『まったく、困った奴だ。お前は……』
先生の声がする。
しばらくして目を覚ますとゲストルームの
ベッドの上だった。あれ………?
何でベッドに居るのかしら?
たしか、衣装を作って…それで慌てて起き上がった。
そうよ!?そのまま寝ちゃったのよ…私。
急いで時計を見ると12時になろうとしていた。
嘘~大遅刻じゃない!!