「はい?馬……ですか?」
何で?王子様役が似合いそうなのに。
すると中川先生は、苦笑いしながら詳しく説明してくれた。
「実は、女の子達は……王子様役を睦月君に
やって欲しいと言っていたのですが。
睦月君まったく話さないので。
去年のお遊戯会でも歌を歌う事になったのですが
練習中まったく歌わなかったんですよ!
何とか歌ってもらおうとしても無反応でして」
「藤崎さん…睦月君のお父様にも相談したら
何とか本番だけ歌ってくれるように
睦月君を説得してくれて本番は、大成功。
ただ次の日に睦月君がストレスで熱を出してしまって
そのため負担の多くない役にしたんです」
中川先生の説明を聞いて納得してしまった。
確かに……睦月君に王子様役は、キツいわね。
台詞も多いだろうしストレス溜まりそう。
「それでは、仕方がありませんよね。
分かりました。ありがとうございます」
無理にやらせるのもどうかと思うし
中川先生の配慮に感謝をしつつ頭を下げた。
そして、自宅に帰った後に先生にその事を話した。
今日は、私が迎えに行ったので……。
先生もそれを聞いて納得してくれた。
「そうか。まぁそうだろうな」
「睦月君は、王子様役が似合いそうですが
仕方がありませんよね。負担させる訳にはいけませんし」
「それでこいつの馬の役は、台詞もあるのか?」
「台詞は、一言だけで済むようにしてくれてます。
後は、動きがあります。練習しないと…。
それと馬の衣装を作らないといけないみたいです」
そう言うと台本と衣装の作り方が書いた用紙を渡した。
すると舌打ちをする先生。
作り方が書いた用紙を見ながらため息を吐いた。
「台本は、いいが衣装作りか…めんどくせーな。
俺……裁縫とか苦手なんだよな」
ブツブツと文句を言っている先生を見て驚いた。
それも得意なのかと思っていた。
家事とか完璧だし何でも出来ると思っていた。