「小野木……」
初めての告白だった。先生は、驚きながらも私を見る。
この気持ちをちゃんと伝えなくちゃあ……。
伝えないと伝わらない。
しかし先生は、暗い表情をしてきた。
「俺は、お前の気持ちに応える自信が……」
「そんなの分かっています!」
「えっ……?」
「先生が奥さんのことを今でも大切で忘れられないのも
知ってます。でも私は、諦めたくない。
図々しいかも知れませんが、それでも
振り向いてほしいと思っています!
今は、無理でもいいんです。でも、チャンスを下さい。
私は、好かれるように精一杯努力しますから
だから私と付き合って下さい!!」
私の精一杯の気持ちだ。
少しでも可能性があるなら……叶えたい。
私が先生のことが好きなんだってもっと伝えたい。
「……うん。いいよ!」
えっ……睦月君!?
何故だか先生に抱っこされていた睦月君が返答した。
私は、驚いて睦月君を見る。
「こら、睦月。勝手に返事をするな!?」
先生は慌てて睦月君を叱る。しかし
「だってパパ。なかなかハッキリしないし
女々しいんだもん。お姉ちゃんのこと本当は、
好きなくせにママのことを気にしてウジウジしてて
度胸ない。それって意気地無しって言うんだよ?」
睦月君は、ハッキリとそう言ってきた。
意気地無し……そうよ!
先生は、意気地無しなのよ!!
「先生は、意気地無しなんです!!
奥さんに一途なところは、素敵ですがウジウジして
前に進めない。先生は、カッコ悪いです。
私が幸せにしてみせます。睦月君も含めて
だから私と付き合うことも考えてみて下さい!!」
私も負けじと言い返した。
自分から幸せにしてみせると言うのは、
おこがましいと思うが先生には、それぐらい言わないと
ダメだと思った。先生は、一瞬驚いたが
ハァッ……とため息を吐いた。