「何、顔を赤くなっているんだよ?
テレビ出演ねぇ…」
徐に考え込む先生だった。
すると食べ終わった睦月君が先生の所に行く。
先生は、ジッと睦月君を見ると頭を撫でながらボソッと
「仕方がねぇーか。コイツのためにも」と呟いた。
えっ?今なんて…?
「小野木。その辺は、お前に任せる。
テレビ出演は、いいがバラエティーはやめろよ?
あくまでもインタビューだけにしろ」
それってつまり先生は、テレビ出演をしてくれるって
認識してもいいってこと?
嘘……だとしたら嬉しい。それは、早く手配しなくては。
「はい早速。編集長に言って手配します」
「いや、無理して作らなくていいからな」
そう言ってツッコまれるが気にしない。
だって、表舞台に出るのが嫌いな先生が
やっと承諾してくれたのだ。
こんなチャンスを逃す訳にはいかない。
私は、慌てて編集長に電話した。
編集長もでかしたと言って喜んでくれた。
これで、もっと先生の良さを知ってくれたら
いいのだけどな。そうしたら素敵なことだ。
私は、そう思いながら電話を切ったのだった。
そして、その夜。ホテルの方で過ごしていたら
梨子から私のスマホに電話がきた。
放送のを観て心配してくれたようだ。
私は、コソコソと先生の邪魔にならないように
隅っこで話をしていた。
『もう驚いて飲みかけのコーヒーを吹き出しちゃったわよ』
「ごめんね。梨子……心配かけて」
『で、どうするのよ?
あんたのアパートにも報道陣が来ているんでしょ?
この際、そのホテルに泊めてもらいなさいよ?』
はい!?梨子の言葉に驚かされた。
と、泊まらしてもらうなんて
そんな恥ずかしいこと頼める訳がないじゃない。
彼女の突発的な発言にいつも驚かされる。