美紀子さんに抱き締められると
何だかあたたかい気持ちになってホッとする。
私の気持ちを理解してくれるからだろう。
三柿野駅に着いたので、私達は降りた。
そして東海中央病院まで歩いて行き翔馬君が
入院している病室に入っていく。
ドアをノックして横に引くと翔馬君が見えた。
翔馬君のお母さんも居た。
「えっ?美紀子さんに菜乃ちゃん!?」
「急に来てごめんなさいね。菜乃ちゃんが
戻ってきたから話をさせたくて」
2人の話をしている間。私は、頭を下げると
慌ててベッドまで行く。
ぐったりとしていて汗をかいている翔馬君が
寝ているのが見えた。頬も赤い。
私が引きこもって泣いている間に、熱を出して
必死に治そうとしていたんだね。
「翔馬く……ん」
涙を流しながら翔馬君の名を呼んだ。
するとまつ毛の長いまぶたがうっすらと開いた。
そして荒い吐息を吐きながら私の方を見てくれた。
「……菜乃……お帰り」
目がうっすらと開けているがボーとしている。
熱で意識が朦朧としているのかもしれない。
私は、涙を流しながら翔馬の手をギュッと握った。
熱で、さらに温かい。
「翔馬君……ごめんね。約束破って……」
私は、どうしようもなく胸が締め付けられた。
こんな苦しそうにしているのに
何で、もっと早く決断を出せなかったのだろうかと
涙が溢れて止まらない。すると翔馬君は、
ギュッと手を握り返してくれた。
「泣くなよ……菜乃。泣き虫だな。
ちゃんと約束守ったじゃん。ここに居るだろ」
泣いている私に笑ってくれた。
その苦しそうにしながらも笑ってくれる翔馬君を見て
私は、余計に涙が溢れてくる。やっぱり離れたくない。
この人のそばに居たいと改めて思った。
そのためにも自分が強くならないといけない。
引きこもってないで自分で動かないとダメなんだ!
しばらくすると翔馬君の叔父さんも来て私は、
車で祖母の家まで送ってもらった。
祖母は、もちろん驚いていたが理由を話すと
納得して怒ったりしなかった。それよりも
両親に連絡をして事情を代わりに話してくれた。
私も途中で代わってもらい自分の意見をぶつけた。
もちろん叱られたが、それでも自分の意見を通し
何度も何度も説得をした。