丁度母は、仕事で居ない。私は、置き手紙をテーブルに
置くと大きなカバンを持って自宅を出た。
そして向かった先は東京駅。
運良く新幹線の自由席の切符が買えた。そして
私は、岐阜に行くため名古屋まで向かった。
東京から名古屋まで行き。
そこからJRに乗り岐阜駅まで向かった。
時間がかかったが、やっと戻って来れた。
家出みたいになってしまったけど……。
罪悪感はあるけど、後悔はしたくないと思った。
そして岐阜駅に着くと電車から降りた。
私は、焦る気持ちを必死に抑えて、でも急ぎ足で
ショコラに向かった。すでに夕方近くになっていた。
お店に入ると美紀子さんが驚いていた。
「あら、菜乃ちゃんじゃない!?
連絡が来ないから翔馬君が心配していたわよ。
今日戻って来るなんてあの子何も言ってなかったけど」
「あ、あの翔馬君が入院したって本当ですか!?」
私は、息を切らしながら尋ねた。
メールをしていないから、どんな状態か分からない。
高熱だって油断をすると危険だ。
すると美紀子さんは、驚きながらもフフッと笑った。
「翔馬君なら大丈夫よ。高熱が続いているけど
いつもの褥瘡だって言っていたわ。
もうすぐ熱も下がると思うわ。それよりも
気になるなら病院に行ってみたら?」
「あ、病院……」
そうだ。病院に行けば早い。
また同じ東海中央病院なら行き方は、知っている。
焦り過ぎて思考が上手く回っていなかった。
私は、慌てて頭を下げてお店の外に出ようとする。
その時だった。
「菜乃ちゃん。私も行くわ!
早めにお店を閉めてもいいし、それに
まだ話せてないでしょ?何かあったのか」
何でもお見通しの美紀子さんは、一緒に行くと申し出てくれた。
すると翔馬君の叔父さんも賛成してくれた。
大変ありがたいことだ。
私は、頷きそして美紀子さんと一緒に電車で
向かうことになった。
叔父さん達は、後から車で来てくれるらしい。
私は、電車の中で事情を美紀子さんに話した。
両親に嘘をつかれたこと。
そして家出同然で家を飛び出してきたことを……。
涙を我慢しながら話すとギュッと抱き締めてくれた。
「そっか……大変だったわね。
でも大丈夫よ。あなたを誰も責めたりしないわ。
ご両親には、私からも話してあげる。
あなたが、どれだけいい子でお店にも大切な
存在なんだって言ってあげる」