思わず告白をしてしまった。
涙を溜めながら気持ちが溢れてくる。
するて翔馬君は、手を伸ばして私の手を
ギュッと握ってきた。……翔馬君?

「……そばに居て。頼むから…」

「う、うん」

翔馬君の手は、熱のせいかあたたかった。
何より弱々しかった。
私は、しばらく翔馬君のそばに居た。
彼が眠りにつくまで……。しばらくして
翔馬君の母親が飲み物を買って戻ってきた。

「お待たせ。ごめんなさいね。
翔馬を任せっきりにして」

「あ、いえ……翔馬君。
寝ちゃったみたいなので私帰りますね」

さすがにいつまでも居る訳にはいかない。
美紀子さんに報告をしたいし、バイトもある。
すると翔馬君の母親は、申し訳なさそうに私を見てきた。

「あのね。菜乃ちゃん」

「はい?」

「菜乃ちゃんは、翔馬とどうなりたいの?」

「えっ……?」

どうなりたいとは、どういう意味だろうか?
私は、意味が分からずに首を傾げた。
すると翔馬君の母親は、さらに言いにくそうに
口を開いた。

「私は、翔馬が事故に遭ったと聞いたとき
人生で1番絶望したの。意識が戻らなくて
死ぬかも知れないと聞かされて
どうしたらいいか分からなくて毎日泣いたわ。
だからあの子が車椅子になっても生きててくれたら
それだけで十分幸せなのよ!」

「でもあの子は、恋もしたいし
やりたいこともたくさんあると思うの。
でもね……あの子は、車椅子。
今日みたいなことが、頻繁にあるわ。
あなたにカッコ悪いところを見せたくないと思うようになるのよ。
だからもし……これから付き合うとしても
あなたの負担や迷惑になるのなら傷の浅い内に
別れを切り出してほしいの」

えっ……?
私は、翔馬君の母親の言葉に驚いた。
傷の浅い内に別れを切り出してほしいって……。
そろそろ付き合ってもいないし。
動揺をしてしまう。しかし彼の母親は、
切なく複雑そうな表情をしていた。