試合が進むにつれて激しくなり
車椅子同士がぶつかってしまい転倒してしまった。
あ、痛そう……。
だが選手達は、すぐにスタッフに車椅子を
起こしてもらうと何も無かったかのように振る舞う。
その際には、仲間同士が励ましたり
声を掛け合ったりしていた。
彼らには、痛さや恐怖よりも
試合に勝つことに熱心になっているように見えた。
その姿は、障害とか関係なくカッコいいと思えた。
「凄い。カッコいいですねぇ……」
「あら。まだまだこれからよ?
それに翔馬君が出たら惚れ直しちゃうから」
私の感想に美紀子さんは、クスッと笑うと
そう言ってきた。それは、どういう意味だろうか?
不思議に思っていたらその団体選手達は、
さらに白熱した試合を見せていた。
何度もぶつかり転ぼうが、そのたびに
立ち上がり前に進もうとしていた。
失敗を恐れない姿は、その選手の生き方にも思えて
胸が熱くなった。心の底から凄いと思った。
そして試合が終わると次は、いよいよ
翔馬君が所属している『岐阜エレファント』の
出番だった。相手は、長野のチームだ。
あちらも強そうなチームで背の高い選手も居た。
その後に翔馬君が出てきた。涼太君も一緒に居る。
お互いに頭を下げると岐阜VS長野の試合が始まった。
翔馬君……頑張って!!
私は、祈る気持ちで観客席で見ていた。
すると少し離れたところから
「翔馬~頑張れー!!
涼太も……負けないでよ!」
翔馬君達を応援する女の子が居た。
よく見ると車椅子だった。
同じ学校のクラスメートかな?
そういえば女の子の友達が居るようなことを話していたっけ……。
するとワァッと歓声が聞こえてきた。
私は、慌てて見ていると試合が始まり翔馬君が
ボールを持っていた。だが
敵のチームに囲まれてしまった。
「翔馬君!?」
私は、慌てて呼ぶと翔馬君は、ニヤリと笑った。
その瞬間だった。翔馬君は、天井に向かうように
大きくボールを投げた。あ、ボールが!!
だがボールは、すぐさま涼太君が受け取った。
そして長野チームのリングに向かって行った。
凄い……速い!!
涼太君は、車椅子を器用に操りながらどんどん
前に進んでいた。すると背の高い選手が涼太君を
ブロックしようとしてきた。あ、危ない!?
だがその時だった。涼太君は、ボールを左側に投げた。
ボールは、いつの間にか来ていた翔馬君の手に渡った。