自分でも何を言っているのかと思った。
翔馬君の両親の前で……。
テンパって恥ずかしいことを言ってしまい
身体中から火が出そうだった。
それを聞いて翔馬君の両親や美紀子さんは、
アハハッと大笑いされた。えっ……?何で笑うの!?

「そうか……素敵か」

翔馬君の叔父さんは、笑いながらそう言ってきた。
それは、もう可笑しそう……。
私は、ますます恥ずかしくなった。
すると大会の開会式が始まるアナウンスが流れた。

「あ、始まった……」

いよいよ。大会が始まるようだ。
翔馬君のチーム名は、「岐阜エレファント』らしい。
どんな風に活躍をするのかドキドキする。
開会式が終わると別のチームを見学していた。
車椅子バスケどころかバスケそのものを知らない私は、
美紀子さんや涼太君のお兄さんに
ルールなど仕組みを教えてもらった。

基本ルールは、健常者のバスケとほとんど変わらない。
ただ車椅子バスケは、ダブルドリブルはない。
2回までなら何度もドリブルが可能。
それと障害によってクラス分けがあるらしい。

車いすバスケでは、5人対5人でやるが
クラス分けをしてその人の障害に応じた持ち点を
決めている。1番重いのは1.0で
0.5点刻みで上がっていき、1番軽いのは4.5だ。

2点台以下の選手をロー・ポインター
3点台以上をハイ・ポインターと呼ぶらしい。
しかも持ち点は、必ず14点以下じゃないとならない。
それは、軽い選手だけで構成させないためと
障害が重い選手のことも考えて
不公平にならないようにするためだ。

軽快なプレーをするハイ・ポインターではなく
試合の命運を決めるのはロー・ポインターの働き 
次第ということになる。試合は1クオーター。
10分の4クオーター制。
コートの大きさは通常のバスケと同じで
スリーポイントライン、フリースローラインの位置も
全く同じだとか。

しかし、それだと通常の選手の試合を彼ら
車椅子選手は、ずっと座りながら動き
シュートを決めないとならない。

すごーい。そんなことは、本当に出来るのかしら?
だって手だけだなんて不可能に近い。
それなのに試合をすると言うのだから凄い。
しかしそれは、試合を見て変わった。
車椅子選手達は、器用に車椅子を操りボールを
コントロールしていた。

味方に渡すと次の味方の選手に。
時にぶつかあったりするが、それを手の動きで回避。
車椅子で走っていく。そしてリングに目掛けて
シュートした。あんな距離から座ったまま
シュートしたのに見事に入った。

シュートが決まるたびに観客は、大きな歓声が上がった。
それは、迫力満点で健常者のバスケと
何も変わらなかった。いや……それよりも
もっと凄いかもしれないと思った。