「えっ……でも……まだバイト中だし」

誘ってくれたのは、嬉しいけど
バイト中だから、さすがに出来ない。
どうしようと悩んでいると美紀子さんが

「あら、いいわよ。丁度お昼の時間にしようかと
思っていたし。お客も少ないから菜乃ちゃんも
そこで食べたら?」

私も食べてもいいと言ってくれた。
思いがけないところで一緒に食べることになった。
本当にいいのだろうか?
何だか申し訳ないから気持ちになった。

「すみません。じゃあ、そうさせてもらいます」

申し訳ないと思いながらも断るのもあれだし
私は、お弁当を持ってくる。
そしと同じテーブル席に座らせてもらった。
何だかドキドキしてしまう。

「なぁなぁ菜乃ちゃんって東京から来たんだって?
やっぱり人とか多いの?」

「えっ……うん」

「へぇ~じゃあ、東京の学校は?
俺らより進んでるの?」

えっ……?その言葉を聞いたとき、また
胸がギュッと締め付けられそうになった。
それは……。不登校になっている私に聞かれても困る。
何で言ったらいいか分からずに黙り込んでしまった。

するとその時だった。
カランと鈴が鳴りお客が入ってきた。
180cm以上ありそうな背の高いイケメン男性なのだが
雰囲気と少し赤みのある髪色が涼太君に似ていた。
もしかしてお兄さんかな?

「あ、兄貴。おせーよ」

あ、やっぱりお兄さんだった。
雰囲気が似ているからそうだとすぐに分かった。
大学生ぐらいだろうか?それとも社会人?

「遅いとはないだろ?車をパーキングエリアまで
置きに行っていたんだ。あ、またここで
弁当を広げて……それは、ウチに帰ってからにしろよ」