「そういえば涼太君。圭一君は?」

「兄貴なら車を停めに行った。なぁなぁ、おばちゃん。
ここで弁当食べてもいい?」

「しようがないわねぇ……っていつもじゃない。
まったく。飲み物は?」

「えへへ……俺ジンジャーエール」

明るくニカッと笑うとその男の子と翔馬君は、
テーブル席に移動した。
翔馬君みたいな人懐っこい感じだ。
後からってお兄さんも来るのかな?
それを思いながら見ていると翔馬君は、私に気付いた。

「菜乃。悪いけどお冷や持ってきて」

「あ、う、うん。」

ドキッとしたが私は、慌てて2人に
お冷やを持って行った。するとその男の子は、
ニヤニヤしながら私を見てきた。えっ?何?

「もしかしなくても……その子?
お前が言っていたあの菜乃ちゃんって」

えっ……?私?

「うるせぇ……余計なことを言うなよ」

「えっ~いいじゃん。あ、俺。小林涼太。
翔馬とは、同じクラスで同じ車椅子バスケの
チームなんだ。で、親友」

不機嫌そうにする翔馬君と反対に明るい口調で
自己紹介してきた。彼は、小林涼太君というらしい。
あ、やっぱり同い年で同級生だった。
しかも車椅子バスケも一緒にやっているなんて
仲がいいのだろう。

「あ、松嶋菜乃です……」

「へぇ~可愛いじゃん。よろしく。
菜乃ちゃんもお昼俺らと食べない?」