クラスでたまたま聞いてしまった言葉は、
私の心を深く傷つけた。怖くてあの子達の前では、
話せなくなった。
顔を合わせるの辛くて学校に行けなくなった。
思い出すたびに身体が震えていた。

「あ、あの……」

どうしよう。話しかけて気持ち悪いと思われたら……。
ガタガタと声まで震えだす。
泣きたい気持ちになった……その時だった。

「菜乃!!」

翔馬君が私に声をかけてきた。えっ……?
振り向くと翔馬君がこちらに車椅子を押しながら
来てくれた。翔馬君……?

「菜乃。お前まだやり方を知らないだろう。
教えてやるから俺が注文を聞くのを見ておけよ」

私の代わりをやるとそう言ってくれた。
もしかして私の気持ちに気づいたのだろうか?
驚く私からお冷やとおしぼりを取るとにこやかに
女子高生の席に注文を聞きに行った。

「いらっしゃいませ。
注文は、お決まりですか?」

「えっ?あぁ……私は、ティータイムセットの
苺スペシャルとミルクティーを」

「私も同じティータイムでチョコケーキと
ココアを下さい」

翔馬君が注文を聞くと女子高生は、一瞬
驚いた顔をした。注文を終わると翔馬君は、
車椅子を押しながら美紀子さんに伝票を渡しに行った。
私は、それを見ている女子高生達は、
こそこそと話し始めた。

「あーびっくりした。
車椅子の子が話しかけてくるんだもん。
バイトの子だったんだ……」

「ねぇ~私も驚いちゃった。
障がい者の子でもバイトとか出来るんだねぇ~意外。
でも、あんな年から車椅子なんて可哀想だよねぇ~」

「あぁ、私も思った。
気の毒だよねぇ~車椅子だなんて」