私は、徐に返事すると翔馬君の後ろで見ていた。
翔馬君は、メレンゲが入ったボウルを叔父さんに
渡しているともう1人の女性スタッフが焼き上がって
冷ましていたカップケーキのスポンジを
翔馬君の前に置いた。
「じゃあ、翔馬君。
こっちのカップケーキをお願いね?」
「あぁ、サンキュー伊吹さん」
翔馬君は、返事するとその伊吹さんは、
私を見てニコッと笑ってくれた。
うわぁ……綺麗な人だな。
小柄で色白で髪を2つ結びにした20代ぐらいの
綺麗な女性だった。
「あ、あの人は、田中伊吹さん。
ウチのパティシェスタッフなんだ」
「パティシェ……」
凄いなぁ……パティシェだなんて。
女性のパティシェなんてカッコいいと思った。
すると翔馬君は、叔父さんから生クリームが入った
絞り袋をもらうとカップケーキに
手慣れたように絞り出した。綺麗に絞った生クリーム。
そして近くにあった果物で飾りつけていく。
みるみる内に美味しそうなカップケーキになっていた。
「うわぁ……美味しそう」
見ていたらお腹空いてしまいそうだ。
目をキラキラさせながら見ていると翔馬君は、
私の方を見て
「何ならお前もやってみる?菜乃」
「えっ?いいの?」
経験もスタッフでもない私がやってみても
いいのだろうか?
戸惑っていると伊吹さんが次のカップケーキの
スポンジを持ってきた。
「まだまだあるから大丈夫よ」
「あ、本当ですか。ありがとうございます」