「菜乃ちゃん。大丈夫よ!
あの子のは、ただのヤキモチだから」
えっ?ヤキモチ?誰が誰に?
美紀子さんの言葉の意味が分からない。
私は、さらに首を傾げるとさらにクスクスと笑われた。
「あ、そうだ。信長まつりだけど早めに来てね?
お菓子を詰めたり忙しいから」
「あ、はーい」
言葉の意味は、よく分からなかったが……そうか。
もうすぐ信長まつりがある。
お菓子を売ったりやイベントがたくさんあるらしいから
楽しみだなぁ~と思った。
よし。頑張ってたくさん売ろう。
そして楽しみにしていたのが叶ったのか天気も良く
絶好のお祭り日和になった。
私は、早めに行くと翔馬君と美紀子さんと一緒に
クッキーのお菓子詰めをした。
前日に作って置いたのも入れてかなりの量だ。
クッキーにマカロン、マドレーヌとパウンドケーキ。
どれも綺麗な焼き色で美味しそうだ。
詰め終わると外に出てテーブルに並べて
歩行者の邪魔にならないようにセットした。
すでにたくさんの人が通り過ぎていく。
「いらっしゃいませ~ショコラのお菓子は、
いかがですか~?」
私と翔馬君は、元気よく宣伝して呼び込んだ。
恥ずかしさもあるが何だか楽しい。
翔馬君もあれから普通に戻り何も変わらない様子だ。
ちょっと機嫌が悪かったのかな?と思うことにした。
すると親子連れの人が足を止めてくれた。
20代後半ぐらいだろうか?赤ちゃんを旦那さんが抱いて
奥さんは、ベビーカーを引いていた。
クッキーを物色するとチョコチップクッキーを取り出した。
そしてそれを購入して下さった。
他にもパウンドケーキを買うお客様や女子高生の
グループが見に来たり賑わいだした。
私も翔馬君も対応に追われる。
すると学校で仲良くなった綾ちゃんと梨香ちゃんが
こちらに歩いてきた。
「あ、菜乃ちゃん。見つけた~♪
お菓子買いに来たよ!」
「私ここのケーキ好きなんだよね」
そう言ってくれる。この2人は、特に仲良くなり
ここでバイトをしていることや翔馬君のことは、
話してあった。もちろん2人は、受け入れてくれた。