璃空君が欲しがっている方を見ると
確かに大きなプリンが上に乗っているホールケーキがあった。
おー美味しそう。私も食べてみたい。
名前は、デラックスプリンアラモードと書いてあった。
璃空君は、プリンが大好きみたいだ。

「じゃあそれ1つ。ロウソクは、7本で」

「はいはい。誕生日プレートも付けてあげるわね」

美紀子さんは、ニコッと笑いながら
ショーケースからデラックスプリンアラモードを
出してくれた。
璃空君は、目をキラキラさせながらそれを見ていた。
フフッ……可愛い。

「松嶋。お会計……」

「あ、うん。えっと……デラックスプリンアラモードだから」

私は、まだ慣れないレジを使いお会計をする。
村瀬君ならお金を受け取るとお釣りを取り出して渡した。
するとジッと村瀬君を見ている翔馬君だった。
どうしたのだろうか?

「うん……?何だよ?翔馬」

「いや。別に……お前が女子と話すの
やっぱり不思議に思っただけ」

「何じゃそりゃ?俺だって話せる奴とは話す」

いつもと様子の違う翔馬君に不思議に思ったが
村瀬君の話せる奴とは話すって私のことも
含まれているのだろうか?だとしたらちょっと嬉しい。
男友達とか居なかったから友達になれたらいいなと
のんきに考えていた。

村瀬君は、ケーキを受け取ると璃空君と
手を繋いで帰って行った。
璃空君は、帰り際に私達に手を振ってくれた。
やっぱり小さい子は、可愛らしい。
ニコニコしながら見送るとフッと翔馬君を見る。
すると何だか不機嫌そうな顔になっていた。
やっぱり……何だか変だ。どうしたのだろう?

「翔馬君。どうかしたの?」

「いや。別に……」

そう言いながら車椅子を押して厨房に入ってしまった。
いや。どう見ても不機嫌だ。
あれ?私……何かやらかしたのだろうか?
意味が分からずにオロオロしていたら美紀子さんは、
クスクスと笑っていた。