何故なら、こういう話からイジメに発展したからだ。
最初は、好きな人で盛り上がったはずなのに
気づいたらイジメのターゲットにされていた。
今思い出しても苦痛だ。
「菜乃ちゃんは、好きな人とか居るの?」
えっ……?
その言葉にドキッとした。
これって話してもいいのかな?翔馬君のこと
初めての彼氏。戸惑ってしまう。
だが翔馬君の顔を思い出したら何だかあたたかい気持ちになった。
「あ、あの……居るよ。彼氏なんだけど」
「彼氏!?えっ……どんな人?いいなぁ~」
「凄く素敵な人だよ。優しくて明るくて……」
車椅子とは言えなかった。
だが翔馬君の話をすると言葉が出てきた。
まるで大丈夫だよと言われているような気がした。
そして昼休みが終わると村瀬君が戻ってきた。
この人は、やっぱりちょっと苦手だ。
夕方になると学校が終わり私は、すぐに帰宅して
私服に着替えてショコラに向かった。
今日は、バイトの日だ。
店内に入ると美紀子さんは、レジをしていた。
「お帰り菜乃ちゃん。学校は、どうだった?」
「何とか大丈夫でした。仲良くしてくれる子達も居て」
「それは、良かったわ。心配していたのよ~」
ホッとした表情をする美紀子さんに申し訳ないと
思いながらも内心嬉しかった。
あれからクラスの数人の子と仲良くなった。
まだちょっと私の方が遠慮がちだがいい子達だと思う。
もう少し親しくなったらちゃんと友達になれるといいな。
私は、すぐに手洗いと消毒をしてエプロンをつけた。
そして美紀子さんの手伝いをしていると
翔馬君が店内に入ってきた。そして私の顔を見るなり
「菜乃。学校どうだった?」と聞いてきた。
皆同じ質問をしてくる。祖母も同じことを言っていた。
だが、それは仕方がないことだ。
私は、不登校だったりと心配ばかりかけていたから
様子が気になるのだろう。