「うん、分かってる。ちゃんとごめんねと大好きを伝えるよ。何度でも、大切だから……」

そう言った私に、白の君はにこやかに微笑んで私の背後に声をかけた。

「ほんに、そなたら子どもたちは可愛いのう……。だから妾は、ここに住まう者らとの交流は辞められぬ」

そんな言葉に、背後の気配は少し息を荒らげていたが一歩ずつ近づいて、そうしてあと少しのところで止まると声が聞こえた。

「穂乃香、ごめん。穂乃香にあんなこと言わせて、情けない。俺が穂乃香が心移りしたら悲しくって、耐えられないと……、それならって突き放そうとした」

いつもの念話じゃない、化けてる時の口を使って、声を出して話しかけてきた。
それは私が好きだと言って、絋くんも好きだと返してくれた時以来、久しぶりの声だった。

「でも、最後に触れた時に穂乃香の叫ぶような気持ちが流れてきた時に、なんてことを言って言わせたんだって、物凄い後悔と焦りが襲ってきた」

その言葉に私は、やっと白の君から離れて後ろを向いた。

そこには、普段無い絋くんの顔が浮かんでいる。
その表情は後悔と、焦りに満ちている。

「普段、こわごわと触れていたのは俺が触れた人の気持ちが読めるから。でも、穂乃香はほとんど読めたこと無かったのに……」

後悔の表情は、苦しげになりつつも絋くんは言葉を続けた。