「穂乃香、進路悩んでるの? 穂乃香ならどこでも行けるでしょう?」

そう言うマチ子も寮付きの私立でも、ちょっと遠いけど、二時間かかる県立の進学校でも行けるだけの頭脳がある。

あやかしばっかりの学校だけれど、現代はあやかしも人に紛れて生きてる時代。

勉強も大事だと考えているし、人里で生きるためにも進学は必須。
なので、少人数なのもあり手厚く教えて貰えているおかげか私たち四人は、物は試しで雪子先生が申し込んだ全国模試で四人とも二桁の成績をたたき出した。

なので進学にはなにも問題はないのだ。
私の問題は絋くんがどうするか、その一点のみなのだ。

「絋くんが進学先を教えてくれないの……」

私のボソッとした呟きもマチ子は聞き逃さない。

「なるほどね……。穂乃香は離れたくないんだね?」

その言葉に頷きつつ、私は唐揚げを飲み込んで言葉を返す。

「やっと好きって言って付き合うようになったのに、離れたくないもん……」

そんな私に、マチ子ははぁと溜息をつきつつ言った。

「それなら、ここから一番近いところを第一にしときな。私はそこだから、最悪私とは高校まで一緒よ」

そう言ってくれたマチ子に少し涙目になりつつも私は箸をペンに持ち替えて、進路希望表に一番近い県立高校の名前を記入した。