「さて、明後日から夏休みです。皆さん、最終進路希望は明日までに出して下さいね」
そんな雪子先生の言葉に頷きつつ、私はまだ埋められていない真っ白な進路希望の紙をみてため息をついた。
ここから一番近い高校でも、人里に出て一時間半かかる。
大抵の子は、その頃には変化も上手になるので寮付きの別の高校に進学することが多い。
この辺は田舎だし、みんなあやかしだが、妖なりの特徴を活かして、良い仕事をしている事が多いので、そんな学校に入れるのも苦ではないお家が多い。
絋くんも、きっと寮付きだろうと思っていたんだけど、進路は聞いても教えてくれない。
私は離れたくないから、進学先は同じがいいなと思っていたのに、絋くんは教えてくれるぞぶりもない。
おかげで私の希望表は真っ白なままである。
そんな悩ましい私に気づいたのか、マチ子ちゃんがお昼は二人でと言い出して今回は先生と男子二人を残して空き教室を陣取って二人で話すことになった。