「じゃあ、困ったことがあったらいつでも言ってね」

 白い歯を見せて笑うひかりがなんだかまぶしくて、机に視線を落としてから小さくうなずいた。
 他の女子に話しかけられたらしく、ひかりの足音が遠ざかる。

 そっと自分の髪に触れてみる。いつから伸ばしているのかわからない長い髪。
 褒められたうれしさと、それを断ち切りたい気持ちがせめぎあっているようで落ち着かない。

 面倒見のいいひかりとは反対に、うまく言葉を返せない自分がひどい人間にも思える。

 本当は……私だって心の底では話をしたいと思っている。
 だけど、できない。

 失うと知っているからこそ、先にある悲しみを少しでも軽くしたいと思ってしまう。

 ――ズキ……。

 頭の奥深くに鈍い痛みが生まれた。
 こめかみを押さえ、ギュッと目を閉じる。

 いつからかは思い出せないけれど、たまに起きる片頭痛に悩まされている。