大事にしてきたぶん、突き刺さった破片が生む痛みに、心はいつまでも血を流し続ける。

 友達なんて作っても別れが悲しくなるだけ。ひとりでこの数カ月を耐えればいいと、いつからか思うようになっていた。

「高丘からみんなになにかひと言もらえるか?」

 先生の声に、視線は靴先へ落ちる。
 いきなり話をふられても困るけれど、言うなら今しかない。
 これまでは、なにも言えないままクラスメイトの一員になってきた。友達を作らない私にあきれて、飽きられて、離れて行く人を見ていただけだった。

 今回は、最初にみんなに伝えてみよう……。
 勇気を出して口を開く。

「あの……」

 私の声にいっせいに視線が口元に集まる。

「……私、人とうまく話をすることができません」

 教室の空気が、草原に風が吹いたようにザワッと揺らめいた。