あんなにリアルだった痛みは、薬のおかげか少しずつ遠くなっている気がした。

 それにしても今日の出来事は怖かった。

 男子がああやってケンカするのは珍しいことではないが、自分のせいなのははじめてのこと。罪悪感に苦しくなってしまう。

 もしも、駿河と話をする機会があればお礼を言いたい。あんなふうにかばってくれてうれしかったことを伝えたい。

 そして、これ以上私に関わらないようにも言わないと……。

 もうすぐ六月。夏休み前には転校が決まるだろう。
 二カ月後に消える私なんかを気遣うよりも、みんなと仲良く過ごしてほしかった。

 そう告げたなら、駿河はどんな顔をするだろう。誰も傷つけたくないのに、どうして私は人を傷つけることしかできないの?
 転校してリセットされる人間関係なら、最初から深めたくない。この考えは間違っているのだろうか……。

 横になっていると悪い考えばかり浮かんできそうで、頭痛が消えたのを確認してから私は起きあがった。
 カーテンを開けると、岡崎先生はどこかへ行ったらしく姿が見えなかった。

 時間はまだ六時過ぎ。