授業が終わると、荷物はそのままに保健室へ向かった。

 広太や駿河と顔を合わせたくないのもあったし、いつもならすぐにおさまるはずの頭痛が、持参している薬を飲んでもおさまらなかったから。むしろ、どんどんひどくなっていくよう。

 はじめて行くので迷うかも、という心配も杞憂に終わり、一階の廊下の奥にある保健室にたどり着く。

 岡崎先生は私の顔を見ると、
「ほら、そこに寝てな」
 とベッドのほうへ手のひらで指した。

 真っ白な保健室に真っ白なベッドが置かれている。

「え……?」
「具合が悪いんだろ? いいからさっさと寝る」

 荒っぽい言葉遣いでも、なぜかやさしく聞こえる。
 靴を脱いでベッドに横になると、岡崎先生はレールカーテンを閉じてくれた。
 ようやく緊張が解けた気になる。

「今日は頭痛がひどそうだな」

 カーテンの向こうでそう言う岡崎先生に、
「はい」
 と答える。