ひかりや広太以外とは接点を持たないため、他のクラスメイトたちの顔を見ることがなかった私。

 新しいクラスメイトも、最初はすぐに視線を逸らし、見なかったことにするつもりだった。
 けれど、自己紹介をした下川原駿河の顔から目が離せなかった。
 ゆっくりと教室のひとりひとりを見つめる視線。これからの毎日にワクワクしている少年のような瞳。そのどれもが輝いて見えたから。

 はじめて会う人に対しまるで警戒心(けいかいしん)のない転入生に、自分との違いを見せつけられた気分になった。

 中途半端な時期の転入だというのに、彼はあっという間にクラスになじんでいった。もともと友達だったのかと思うほど誰にでも気さくに話しかける駿河が少しうらやましかった。

 同じ転入生でも、私とは真逆の性格みたい。駿河の周りには自然に輪ができて、笑い声が絶えず生まれていた。

 私も何度か彼に話しかけられたことがある。