「よし……」
すでに出勤しているらしく、お母さんの軽自動車だけが停まっている。
玄関の鍵を開けると、ようやくホッとできるから不思議。
短い廊下を進みリビングへのドアを開けると、お母さんがソファにいた。
「ただいま」
声をかける私に、お母さんは読んでいた本を閉じた。
「おかえり。今日も遅かったじゃない」
開口一番、注意をしてくるお母さん。それには答えずに水筒をシンクに置いた。
そんな私に慣れているのか、お母さんはそれ以上追及することはなく、「よいしょ」とソファから立ちあがって台所へ向かう。
お母さんは、お父さんの出勤前に一緒に食べたのだろう、台所のテーブルには私ひとりぶんの食事が置いてあった。
手を洗ってから椅子に座ると、味噌汁をあたためるガスの音だけが聞こえていた。
私の頭痛を気遣ってか、我が家でテレビがついていることは少ない。
聞こえるのは食器棚の開閉する音、ガスのスイッチを切る音、鍋の蓋を開ける音たち。
それらが昼間、音の洪水にさらされていた耳にやさしく届く。
すでに出勤しているらしく、お母さんの軽自動車だけが停まっている。
玄関の鍵を開けると、ようやくホッとできるから不思議。
短い廊下を進みリビングへのドアを開けると、お母さんがソファにいた。
「ただいま」
声をかける私に、お母さんは読んでいた本を閉じた。
「おかえり。今日も遅かったじゃない」
開口一番、注意をしてくるお母さん。それには答えずに水筒をシンクに置いた。
そんな私に慣れているのか、お母さんはそれ以上追及することはなく、「よいしょ」とソファから立ちあがって台所へ向かう。
お母さんは、お父さんの出勤前に一緒に食べたのだろう、台所のテーブルには私ひとりぶんの食事が置いてあった。
手を洗ってから椅子に座ると、味噌汁をあたためるガスの音だけが聞こえていた。
私の頭痛を気遣ってか、我が家でテレビがついていることは少ない。
聞こえるのは食器棚の開閉する音、ガスのスイッチを切る音、鍋の蓋を開ける音たち。
それらが昼間、音の洪水にさらされていた耳にやさしく届く。