「誰が残っているのかと思ったら君か」
「あ……はい」

 岡崎先生にはあらかじめ頭痛があることを伝えてもらっていた。私の片頭痛には波があり、あまりにひどいときは保健室で休ませてもらう必要があるから。

 今のところ保健室のお世話にはなっていないけれど、いつお願いすることになるかわからない。

「体の具合はどう?」

 眼鏡を人差し指であげる岡崎先生に、
「大丈夫です」
 と答える。

「頭痛もないのか?」
「……はい」

 足元に置いてあったカバンを手に取ると、
「帰ります」
 頭を下げ、うしろの扉へ向かう。

「あまり無理するなよ。痛くなったらいつでも保健室で寝てればいい」