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夏休み中の八月上旬、主催者を廈織くんとして夏の小旅行が決行された。
琥珀は悠希と七海、橘を連れ、廈織に指定された集合場所へ向かっていた。
「いやー! 絶好の旅行日和だね! なんだか不思議なメンツだけど、楽しくなりそう! ね、橘! テンション上げてこうよ」
朝から元気いっぱいの七海は太陽に向かって大きく伸びをしながら緊張で身を縮ませている橘くんの背を叩いた。
「は、はい……楽しみましょう」
橘くんは後ろを歩く私と悠希の姿をちらりと見ながら七海に返答する。
私は一瞬目の合った橘くんに笑みを返しながら隣で眠そうな表情をする悠希に話しかけた。
「あれから希望ちゃんとはどうなの。何か話したりした?」
あれから、とは、すなわち希望ちゃんと悠希が別れてから。
私は二人が別れてしまった原因を未だほとんど知らない。
何度聞いても悠希は「琥珀には関係ない」の一点張り。
「その話はもういいだろ。お前って意外と野次馬なとこがあるよな」
うんざりした様子で悠希は言った。
「そんなことないよ」
「あるよ。自分で気が付いてないだけ」
希望ちゃんの名前を出した途端、露骨に不機嫌になってしまった悠希の態度から見て、彼女との間にあるわだかまりは未だ解決していないようだ。
「……違うもん」
私は頬を膨らませて反論を表し、そのまま強引に話題を切ることにした。