振り返った先には、背の高い女の子が立っていた。
明るい髪色が光に反射して眩しい。
「警戒しないでよ。あ、敬語とかなくていいよ、同じクラスなんだし! あたしは七海(ななみ)」
首を傾げる私に、七海は耳元で囁いた。
「一緒に登校してきたのって、同じクラスの二宮くんだよね。付き合ってんの?」
七海の質問に、私は慣れたように答える。
「あー違うよ。ただの幼なじみ」
私の返答は、七海の興奮をさらに高めてしまったらしい。
「えー! 幼なじみとか憧れる! いいなあ」
どうしてこの関係を羨ましがるのか、理解ができない。
いっそ本当の家族になりたかった。
そうすれば、こんな複雑な気持ちになることもなかっただろうに。