*   *   *



 希望は首をひねった。

 考えてみればおかしな話だろう。

 私と彼女の家は全くの逆方向なのに「一緒に帰ろう」だなんて。

 何を話していいのか、正直分からなかった。


「希望ちゃん、体調はもういいの?」


「うん。心配かけてごめんね。琥珀ちゃんこそ、近頃、体調悪いって聞いたけど、大丈夫?」


 元凶が何を聞いているのだろうか。

 白々しいにもほどがある。


「まあ色々あってね……実は知らない人から嫌がらせを受けてたんだよね……怖かったけど、今はもう大丈夫」


 琥珀ちゃんの口ぶりからして、彼女もまた事実を知らないようだった。


 内心ホッとしている自分に嫌気がさした。


「こ、琥珀ちゃん、あのね」


 全てを話すことが彼女を傷つける結果になるのだとすれば、本当のことは言わない方がいいのかもしれない。

 私は言いかけた本音を寸でのところで飲み込み、言った。


「私、悠希と別れたの」