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希望は首をひねった。
考えてみればおかしな話だろう。
私と彼女の家は全くの逆方向なのに「一緒に帰ろう」だなんて。
何を話していいのか、正直分からなかった。
「希望ちゃん、体調はもういいの?」
「うん。心配かけてごめんね。琥珀ちゃんこそ、近頃、体調悪いって聞いたけど、大丈夫?」
元凶が何を聞いているのだろうか。
白々しいにもほどがある。
「まあ色々あってね……実は知らない人から嫌がらせを受けてたんだよね……怖かったけど、今はもう大丈夫」
琥珀ちゃんの口ぶりからして、彼女もまた事実を知らないようだった。
内心ホッとしている自分に嫌気がさした。
「こ、琥珀ちゃん、あのね」
全てを話すことが彼女を傷つける結果になるのだとすれば、本当のことは言わない方がいいのかもしれない。
私は言いかけた本音を寸でのところで飲み込み、言った。
「私、悠希と別れたの」