「なんだ? 気になるのか?」
「べつに」
心底どうでもいいという態度で答えると、悠ちゃんはつまらなそうに視線を逸らした。
「ああ、そう」
正直、すごく気になった。
新品のローファーを鳴らしながら歩いていると、次第に同じ制服を身に付けた生徒が増えてくる。
数分後、立派な門の先に校舎が見えてきた。
「いよいよだね」
「そうだな」
今日から高校生になるんだ。
そんな意気込みを抱えて挑んだ入学式は、あっけなく終わった。
「こんなものか」と拍子抜けしていると、体育館から教室に戻る途中の廊下で同じクラスの女子に声をかけられた。
「ねえ、琥珀ちゃん、だっけ?」
「はい?」