「私から好きって告白したから、ずっと不安だった。中学の時も、高校に入ってからも、本当は私のことをそんなに好きじゃないのかなって思って、悩んでいっぱい泣いた。それなのに、悠希は何も気が付かなかったでしょう。私から告白したから、私だけが悠希を好きだったから、ずっとさびしかったの」


 感情が溢れて止まらない。

 なんてバカな恋をしたのだろう。

 そう思った時にはすでに恋の温度は冷め、盲目の怖さを身を持って知ることとなった。


「ねえ、答えて。こんなになっても、あなたの幼なじみを傷つけるような彼女でも、それでも私のことが好きだって言える? 本当の私を好きって言ってくれる?」


 何も答えない悠希。

 予想通りの反応に、私は満足して首を縦に振った。


「……別れよっか、私たち。今まで保った方だと思うよ。初めてのお付き合いにしては、上出来だったんじゃない?」


 皮肉を込めて笑う私に悠希はよくやく口を開いた。


「ちょっ、別れるって、本気なのかよ」


 触れようと伸ばした悠希の手を、私は容赦なく叩き落す。


「私、もう悠希と付き合える自信がない。一緒にいるのが苦痛になってしまったら、もうそばになんていられないでしょう」


「……そうか」


 一方的な、彼を傷つける言葉だということは十分に分かっていた。

けれど全てを知られてしまった今、もう昔のように何も知らずに笑うことはできない。

 本当はこんな日が来ることを待ち望んでいたのかもしれない。

 独りよがりな恋愛に終止符を打ちたくて、自ら選択肢を違えてきたのかもしれない。

 なんて自分勝手で酷い話。

 私はいつも、自ら破滅を選んでばかりだ。


「……さよなら」