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不審なメッセージや着信が来るようになってから一週間。琥珀の体力もいよいよ限界に近づいてきた。
直接危害が加えられることはなかったものの、誰かが強い思いで自分に嫌がらせをしているのだという変えようのない事実がどうしても気にかかる。
悩めど何かいい解決案が出るといったこともなく、私は眠れない夜を過ごしていた。
「琥珀、どうしたの? 顔色悪いよ」
一限目の終わり、頭痛で項(うな)垂(だ)れる私を心配して、七海が声をかけてきた。
私は青い顔のまま、ゆっくり口を開いた。
「めっちゃ頭痛い……それになんだかフラフラする」
「ちょっと本当に大丈夫? 保健室行った方が良くない?」
「んー。どうしよう……行った方がいいかな」
チラリと七海の顔色を伺うと、珍しく本気で心配そうな顔をしていた。
「今にも倒れそうだよ。最近寝てないって言ってたし、少し寝てきた方がいいと思う。次の先生には七海が言っておくから、行きなって」
言われて私は鉛(なまり)のような体を持ち上げると、フラフラと歩き出した。