「琥珀ー、先にお風呂入っちゃいなさーい」
「はーい」
いつもどおりの日常が戻ってきた。
私は自分の中の気持ちに整理をつけ、「悠ちゃん」呼びを再開した。
ある日のこと。
夕食を済ませ、お母さんに言われたとおり入浴しようと着替えを取りに自室を訪れた私。
闇に包まれた部屋の奥、ベッドの上で、私は充電していたスマホが光っていることに気が付いた。
それを手に取った私は、画面を見て、そのままスマホを放り投げた。
ベッドに放られたスマホは相変わらず何かを受信して光り続けている。
画面を覗くと、そこにはおびただしい数の無料通信アプリの通知と、非通知の着信が。
「なんなの……これ」
震える手で恐る恐る放り投げたスマホを再び手に取ると、無料通信アプリから最新のメッセージが受信された。
その内容は。
【許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない】
数十件にも及ぶ過去のメッセージも似たような言葉が延々と続いていた。
怖くなった私は慌ててスマホの電源を落とした。
7話 【スタート】