*   *   *


 悠希の部屋に足を踏み入れた琥珀は、久しぶりに入る幼なじみの部屋に声を上げた。


「汚い!」


「言うと思った」


 部屋の中には服が散乱し、本が読みかけのまま、いたるところに落ちている。


「あのさあ……まさかこの部屋に希望ちゃん入れてないでしょうね? さすがに嫌われるよ、これは」


 大きな溜息をつきながら私は手当たり次第に散らかっている服をかき集め、ベッドの上へひとまずまとめていく。


「いいや、今日はリビングで昼飯食って終わり。だって足の踏み場ねーじゃん、この部屋」


「自覚してるなら手伝いなさいよ!」


 的確なツッコミを入れながら、私は悠希の言葉に納得した。

 だからリビングに希望ちゃんの忘れ物があったのだ。


「聞いてるの? 悠希――――」


 悠希の服を片づけながら振り返った瞬間、突然腕を掴まれ、言葉を失った。

 
「俺、ずっとお前に聞きたいことがあったんだ」


「聞きたいこと?」


「お前、彼氏出来たのか?」


 意外な質問に私はポカンと口を開けるばかり。


「はあ?」