「じゃあさ、橘くんの言ってることって私と悠希が付き合う結果になるでしょ? それって橘くんが一番嫌なことじゃないの?」
私は首を傾げる。
「そりゃ嫌ですよ、当たり前じゃないですか……でも、好きな人には本当に幸せになってもらいたいんです」
「橘くん……」
「でも琥珀さんのことを諦めたくはないです。だからまず、僕と友達になってくれませんか? 僕はあなたの気持ちが決まるまで、いつまでも待ちますから。焦らず、ゆっくり考えてください」
橘くんの言葉に私は激しく胸を締め付けられた。
罪悪感と安心感が混じった不思議な気持ちが胸の中を占める。
「うん、分かった……ごめんね、ありがとう」
私は複雑な感情を抱えながら苦笑した。
その胸の内は、新たに生まれた幼なじみへの思いに揺れていた。
そうして青春は、足早に歩き始めるのだ。