「だって幼なじみだよ? 期待するしかないじゃん! 琥珀は本当に悠希くんのこと男の子として好きになったことないの?」
「ないよ」
「一度も?」
「ないってば。私たちはもう家族なの。家族に恋愛感情なんか沸かないでしょ? 第一、あいつ彼女いるからね」
本当は七海の言うとおりなのに。
内に秘めるしかない想いが私を苦しめる。
「そっかー残念。でも、なにかあったら七海に相談してね。その分いっぱい話聞いてもらうけど」
「はいはい。惚気(のろけ)の間違いでしょ」
言いながら、自分の布団に潜り込んだ。
七海はクスリと笑いながら、同じように布団に潜り、電気を消した。
「なんだか疲れたなあ……そろそろ寝よう、七海」
「そうだね。おやすみ、琥珀」
「……おやすみ」
そうして合宿の夜は更けていった。