返事が返ってくることなど想定していないように、迷わず鍵穴を回す音がする。

 当然、男子部屋だけあって容赦はない。


 突然の展開に頭が回らず、冷や汗が全身の毛穴から吹き出す。

 その時だった。

 灯りが消される音がして、部屋が暗くなったかと思うと、私は何か強い力によって布団の中に引きずり込まれた。

 そのまま息を潜める。部屋の中に入ってきた教師は、寝たふりをする神谷くんの方を見て「よし」と満足そうに部屋を後にした。

 それから一体どれほど時間が経過したのだろう。

 私を布団の中に引きずり込んだ張本人は、勢いよく布団を跳ね除けると、何事もなかったかのように私の手を放した。

 電気が付き、ようやく状況が把握できた。

 目を合わせているのに、お互い言葉を交わそうとしない私たちを見かね、神谷くんが口を開いた。