完全に誤解していた。
見た目の印象と雰囲気から七海もきっとテストに苦しむことになるだろうと思っていたのだが、それがあろうことか、彼女はクラス最速で悠々と部屋に戻っていった。
クラスの全員がざわめいたのは当然の反応だろう。
「勉強出来なきゃ七海みたいなのがこの学校にいるわけないじゃん」
失礼だが、納得してしまった。
「……すごいね」
「両親が教師だから、当然だけどね。この髪も、親に対しての反抗だし」
七海は金に近い色の髪の毛をつまみながら言った。
彼女の個性を強調するそれは、今となっては誰も文句を言わない。
その理由を七海は笑いながら話してくれた。
「髪色を許してくれないなら、学校辞めてやるって言ったの」
「そうしたら?」
「そしたら何も言わなくなったよ。教師って、狡いよね」
七海の言葉に私は何度も驚かされるばかりだ。
私は木目が美しい天井を大の字になって見つめる。
七海も同じように寝転がり、「ほう」と息をつく。
「あのね、琥珀」
「んー?」
七海の声に寝返りを打ったところで、彼女はとんでもないことを言い出した。