状況を理解した瞬間、私の体にある全ての汗腺が開き、暑くもないのに汗が噴き出す。
それと同時に血流が一気に脳へ押し上げられ、顔全体が血液の集合で赤く染まる。
「ご、ごごごごごめん――――大丈夫?」
そこでようやく言葉を発することの出来た私は咄嗟に顔だけでも、と橘と物理的な距離をとる。
そのせいで、橘のお腹の上に座り込んでしまうような体勢になってしまったので、見ようによってはもっと恥ずかしいことになってしまったのだけれど。
「いてて……あ、師匠、大丈夫ですか?」
橘は頭を擦りながら、それでも声だけはのんきに、笑顔でそう言った。
「バカ! 自分の心配をしなさい! 頭打ってない? どこか痛いところある?」
私のせいでケガをさせてしまっただなんて、そんなことあってはならない。
……どうして?
だって橘は私を助けてくれた命の恩人で、私の弟子で、私の大切な――――あ。
なんだ、そういうことか。