それから最低限の配慮として、男の美容師さんを指名してあげた私は、それから三十分ほどその場で待ち、(最高級マッサージ機を堪能しながら)散髪を終えた彼を出迎えたのだった。


「はー、マッサージ機最高……」


「……終わったよ、師匠」


 彼の言葉に私は名残惜しくも本革高級マッサージ機から身を起こし、コリの解れた軽い体で立ち上がる。


「おお! おっかえり――――やば」


 勢いをつけて立ち上がったと同時に目を開けて散髪を終えたばかりの橘を視界にとらえた私は文字通り口を開けたまま固まってしまった。


 これは――――予想外。