手っ取り早い方法として彼氏を作ってみたけれど、やはりそれだけでは駄目だったのは廈織くんで実証されたので、何か別の方法を考えなくては――――と考えたところで人がいた。

 頭の中で少女漫画で得た様々な知識を自分に置き換えてシミュレーション中の私の視界に、人が入り込む。

 私は放課後の教室掃除をサボり、今は物置としての価値しかない原則生徒は立ち入り禁止の仮設校舎の屋上へ続く階段を目指していたのだけれど、どういうわけか、先客がいた。

 一瞬、幽霊? と勘違いして目を擦ってみたけれど、人影が消えることはなく、それが実在する人間だと分かったのは良かったのだけれど、どういうわけか、屋上の扉の前で、螺旋状になっている階段の一番上から、落ちたら間違いなく骨折するだろうという高さを見下ろしている人影が、大きな溜息をついたのが聞こえた。

 そこで私は、見覚えのあるシルエットに反射的に声をかけたのだった。


「ねー、そこで何してるのー!」


「う、うわぁ!」


 自分以外の人の声に驚いたのであろうその人は、大袈裟に体を跳ねさせ、私の姿を探す。

 私は興味を引かれた先へ、偶然出会った知り合いの元まで階段を駆け上がった。


「やっほー! 橘じゃーん! こんなところで何してんの? 優等生のあんたがこんな立ち入り禁止の場所に来てるのがバレたら叱られるよー?」


「……や、柳さんか……ビックリした……」


 遭遇した知り合い、もとい、友達の橘真広は、私の登場に大きく目を見開き、安堵の息を吐き出しその場に座り込んだ。