そう考えた私は、申し訳なさそうに項垂れる琥珀の頭上に拍手を浴びせ、顔を上げた彼女を笑顔で迎えた。
「まあ、過ぎたことをあんまり言ってもね。本来なら喜ぶことだしね! ひとまず、おめでとう琥珀、よくがんばったね」
「ななみぃ~!」
机を挟んで両手を伸ばして抱擁を求めてくる琥珀の手を軽く握りながら私は笑顔で対応する。
彼女の気持ちなど微塵も理解しないまま。
「次は恋人同士になった報告、よろしくね!」
「うん、頑張る!」
でも、少しだけ、憧れる気持ちはある。
出会った頃、あんなに無気力だった彼女が、恋心を認めた瞬間、腹を括ってから、こんなに喜怒哀楽が豊かになり、魅力的な女の子に変わったのだから。
恋をすれば、私も変われるのだろうか。
私の知らない私に出会えるのだろうか。
恋とは、一体どんなものなのだろう。