『だって、琥珀は女の子だから』
私の脳裏に、前に悠ちゃんから言われた言葉が過る。
あの時の彼は、私の男関係を心配してそう言った。
まるで妹を心配する兄のように。
でも、今のは少し違うんじゃないかと思う。
完全に妹扱いされなくなったとは言えないけれど、今の悠ちゃんの言葉には、ちゃんと私を一人の女の子として見てくれている雰囲気があった。
それがこんなにも嬉しいだなんて、簡単なことだったなんて、どうしてもっと早く気が付かなかったのだろう。
「ふふふ、バーカ」
思わず込み上げてきた笑みに悠ちゃんは何も言わない。
ただ、気まずそうに頬を赤らめ、恥ずかしさを誤魔化すように私から受け取ったお茶を喉を鳴らしながら飲んでいた。